タイ・コムローイ祭りのランタンをイメージした照明。アジアン・エスニックのバル

アジアン×エスニックバル
天灯 Lantern(有楽町店)

株式会社Globridge SCM事業本部
ストアデザイン室 リーダー
木野 紗織さん

「食業維新」をスローガンに、国内を中心に東南アジアやオーストラリアなどで積極的な飲食店展開を進めている株式会社Globridge(グローブリッジ)。その新規店舗を手がけるストアデザイン室のリーダーとして活躍しながら、今回の店舗[天灯(Lantern)有楽町店]の責任者でもある木野さんに、お話をうかがった。両社の出会いからはじまったトークは、今回の店舗内装のコンセプトとその実現手法、設計段階や工事中のエピソードまで多肢にわたったが、店づくりに込める木野さんの熱い思いをお聞きする絶好の機会となった。

お付き合いのキッカケについて

【相澤】グローブリッジさんとは、お付き合いをはじめて2年くらいになると思うのですが、最初に我が社をお知りになったのは、たしかインターネットだとお聞きしましたが…

【木野】そうです。会社のマネージャーが、ネットで探して見つけたと言っていました。確か、恵比寿にある沖縄バルのちょっとした改装をお願いできるところを探していたのだと思います。

【相澤】外看板を替えるとか、そういったお仕事だったと記憶していますが、それが最初のお付き合いでした。そこから色々な物件のお手伝いをさせていただくようになったのですが…

【木野】会社としては、もちろん業者さんとは何社かお付き合いがあるのですが、実はこの物件については、最初からLEAPさんにお願いするつもりでいたのです。社内では別の意見もあったのですが。

【相澤】木野さんが強力にプッシュしていただいたと聞いています。

【木野】LEAPさんの良いところは色々あるのですが…打ち合わせの後に、必ず議事録を作って送ってくれたりと…議事録まで送ってくれるところは他にはありませんからね。

【相澤】打ち合わせで決まったことをキチンと確認するという目的で議事録をメールで送らせていただいていますが、お互いのためにその方が良いと思ってのことです。後で「言った、言わない」ということを無くすためにも。

【木野】 議事録は、本当に助かっています。ほかには…やはり相澤さんをはじめとして皆さん若く、年も近いので話がしやすいというのもありますね。その上で議事録メールなどもキチンとしてくれるので、とても進めやすいです。

 

このお店のコンセプトについて

同じイメージを共有することが大切。

【相澤】このビルは、他にもグローブリッジさんのお店が入っていて、たまたま今回1階が空いたということで出店を決められたということでしたね。

【木野】ビルのオーナーから「ぜひ入ってもらいたい」と頼まれた形です。

【相澤】お店のコンセプトは、前から決まっていたのですか?

【木野】会社の方から、アジアン・エスニックという業態は言われていて…「さて、内装をどうしようか?」と考えているときに、タイのコムローイ祭りが浮かんだのです。

【相澤】たくさんのランタンを夜空に飛ばすお祭りですね。

【木野】そうです。あの幻想的なイメージが表現できたら良いなと。

【相澤】このお店は、入口から続いて奥へと広がるような空間になっているので、「何があるのかな」と思って入っていくと最後にたくさんのランタンが浮かんでいる…
コムローイ祭りをモチーフにして、そういったストーリーが自然にできましたね。

【木野】途中のレイアウト変更などは少しありましたけど、基本部分のランタンは変わっていないですね。

設計から竣工まで

限られた時間だからこそ大事なコミュニケーション。 【相澤】内装プランが決まるのは、結構早かったですね。2~3回のミーティングを1週間くらいでやって、そこで大枠が決まりました。

【木野】二人で「こうしよう」「ああしよう」と言いながら決めていけたので、すごくスムーズに進みました。その意味で、今回は考え方がうまくかみ合ったということですね。そうでない場合もあるのですが…

【相澤】木野さんの方で、テーブルや壁などの装飾品を用意していただいたりしたので、そういった役割分担も上手くいったのだと思います。工期は少し厳しかったですが。

【木野】ビル側の規制が色々あって、その面では大変な部分もありましたね。トイレのスペースが広げられないとか…現場監督の方も大変だったと思います。

【相澤】引渡し前に開店準備に入られるということもあったりしたのですが、お互いに譲るところは譲って…これもコミュニケーションがうまくいっていたからだと思います。

【木野】会社としても、部門でトップの人間を集めたりと、このお店にはかなり力を入れているので、わがままを聞いていただいたところもありました。

特にこだわった点について

女性に喜んでもらえる仕掛けを演出・・・ 【相澤】今回は、木野さん側からのしっかりしたコンセプトがあったので、まずはそれをキチンと捉え、それに沿う形で設計していきました。そういったことが、入口からのストーリーにも反映されています。

【木野】お店のターゲットを25~35歳の女性に設定しているので、同じ年代である「自分が行きたいお店を作った」というところがホンネです。(笑)

【相澤】でも、それが一番リアルですね。(笑)ただ、こちらとしては、例えば女性がキレイに見えるように間接照明を入れたりするなど、工夫は色々しています。

【木野】ランタンを表現する照明も、結果として良いものになったと思います。火の感じを表現したかったので、チカチカする灯りにこだわったのですが。

【相澤】照明のイメージは、はじめ設計側で出して、造作で考えてみたのですが予算に合わず、木野さんの方で探してもらう形になりました。最終的に2種類の大きさの照明器具を使うことになったのですが、空間の中にバランスをみながら配置したので、色々な大きさのランタンが浮いているように見せることに成功しています。

【木野】それも含めて、今回のLEAPさんの仕事は、100点越えだと思います。ただ、このお店は空間だけでなく、料理から接客までのすべての要素で100点以上を取っていかなければならないため、そこはこれからということになります。そういった意味で、まだまだ安心はできませんので…引き続きよろしくお願いします。

【相澤】このお店は、カップルや女性同士でも気軽に入って使うこともできるし、しっかり料理を楽しむこともできるので、ぜひたくさんの人に来てほしいですね。今回はオープン前のお忙しいなか、お時間をいただき、ありがとうございました。こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。

お店ガイド

店名:オリエンタルバル ランタン 有楽町店
所在地:東京都千代田区有楽町1-2-11 オーキッドスクエア1F
JR 有楽町駅 徒歩5分
日比谷線 日比谷駅 徒歩2分
丸ノ内線 銀座駅 徒歩2分
業種・業態:アジア・エスニック バル
Webサイト:click here
広さ・立地:約30坪・通り沿い路面
施工期間:約50日間
施工費用:約28,000,000円
竣工:2018年9月

有楽町のガード下から、線路脇を帝国ホテルに向かってしばらく行った右側にあるビルの1F。入口から、少し落ち着いた雰囲気のテーブル席を抜け、天蓋風の半個室を眺めながらさらに進むと、無数のランタンが浮かぶ幻想的なメインホールに。そこにテーブル席とカウンター席の両方があり、好きな方で料理やドリンクを楽しむことができる。料理は店名にもあるようにアジア×エスニックで、特に20種類以上のスパイス組み合わせて自分好みの味付けが選べるオーブン料理がおすすめ。また、色彩ゆたかな食用花をあしらった料理やオリジナルのカクテルなど、女性に嬉しい気遣いもされており、インスタ映えも考えられている。